軽度の橈骨神経麻痺の場合、治療の必要のない自然治癒を待ってもよいものありますが、中程度以上のケースでは治療をしないとなかなか治らない、完全には治らず、後遺症として残ってしまう場合があります。
後遺症として多いのは、筋萎縮が戻らない(手が細くなったまま元に戻らない、手の形の変形)、しびれが残る、手の甲の痛みがとれない、握力が弱いままで元に戻らない、グーはできるが、パーはできない、パーで手首をそらせようとすると、グーになって閉じてしまうなどがよく見られる後遺症です。こういう後遺症が残ってしまうのは、多くの場合、ビタミン剤だけ飲んで、自然治癒に任せた場合や適切な治療を受けてこなかった場合に見られるものです。
さらに症状が進むと、手の甲がのっぺらとした形に変形します。指も正中神経に引っ張られ強く屈曲しています。手首がやや小指側に傾いています。これは尺骨神経側に引っ張られているためです。ここまで症状が進行すると、元に戻すのは困難で、多少でも改善すればという前提での治療になります。
これらの症状が残ってしまい、慌てて治療を始めても、改善させることは困難なことが多くなってしまいます。とりあえず試してみると了解いただいて、治療をお受けしてみるのですが、なかなか改善は難しいものが多いです。改善の余地が残っている場合でも、改善のスピードが極めて遅く、半年~1年以上もかけて治療しなければならないケースもあります。
橈骨神経麻痺は適切な治療をすれば、基本的に治る病気です。適切に治療しなかったために後遺症が残ってしまうのはとても残念なことだと思います。1週間ぐらい様子をみるのは構いませんが、治りが悪いと感じたら、早めに適切な治療を開始することが大切です。